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日々の破片

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2004-06-24

_ メモ

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実装の人なの?

_ なぜゴキブリは黒いか? または世にも不幸なネズミの話

子どもに語る アジアの昔話〈1〉(松岡 享子)

子供がおもしろがって読んでいたので借りて読んだ。

お国柄が出ているのかどうか(というよりも、昔話だってことは現在の国と異なる国だった可能性もまた大有りなのだが)わからないが、イランの昔話の痛烈さには度肝を抜かれたりとまどったり。

頭の軽い王様と、その軽さにつけこんで私腹を肥やし政敵を殺しまくる賢い大臣の痛烈なインドの笑い話にもぶっとんだが――

「(省略)よいな、大臣、これからも、けっしてわしを見すてずにいてくれるであろうな?」

「はい、けっして」と大臣はいいました。「天国であろうと、地獄であろうと、陛下のいらっしゃるところなら、どこまでもお供いたします」

というオベンチャラの繰り返しで話が展開していく(1イテレーションの都度、大臣の私腹が肥え、政敵――単に気に食わないというだけだが――が1人あの世へ行く)ので、いったいどういうオチがつくのかと不思議に思いながら読み進むと、あっと驚く笑い話的な逆転が来る(しかし、王様は一貫してオツムがゆるいままで、そのすっとぼけぶりがまたイイ味を出す)のだが、その強烈なオチの付け方に笑いがひきつってしまうのであった。

エントリーのタイトルは、美人のゴキブリの婿取り話なのだが、これまたびっくり。妙齢のゴキブリが遠くの街の金持ちの嫁になりに旅に出ると、行き先々でナンパされる。

「よう、どこへ行くんだい、ゴキブリのおねえちゃん?」

「ゴキブリのおねえちゃんですって! まあ、失礼な! あたしを、そのへんの年ごろの女の子といっしょにしないでちょうだい」

で、口の利き方について説教をたれ、望む呼び方をさせ、最後に夫婦げんかに使う武器について尋ねる。と、相手は自分の職業に関する答えを言う。

例:肉屋

「もし、結婚したら、夫婦げんかになったとき、あんた、あたしのことなんでぶつ?」

「肉きり包丁でさ!」

かくしてゴキブリはプンプンしながら旅を続ける。

そこにお洒落なネズミがあらわれた。いきなり、ゴキブリが望むとおりの呼び方をしてみせる。

「これはこれは、おはようございます。かわいいお嬢さん。そんなにきれいな赤いくつをはいて、いったいどちらへお出かけですか?」

――っていうか、この昔話は、ナンパの仕方を子供に教えるための役回りを持っていたのだろうか?

それはそれとして、この後、ネズミのナンパ師の面目躍如たる洒脱な会話が交わされる。

これは、絶対ゴキブリはネズミの餌だな、と思うとそれは全くの勘違いだとわかる。2人は結婚して幸せに暮らすのだ。いやそれも本気で幸福そうな暮らしっぷりだ。

しかし、好事魔多し!

ある日ゴキブリは病気になってしまうのだ(そこに至るまでまた美しい言葉が交わされたりするのだが、そのシチュエーションの必死振りと会話の優雅さのすさまじい落差がこれまた驚き)。

ネズミは病気にきくカブのスープを必死になって作り……

とびっくりするような話が展開し、最後は、

ゴキブリが今にいたるまで、ずっと黒い着物を着ているのは、ほかでもない、こういうわけがあったのでした

と昔話によくある、「なぜxはyなのか」モノとして終了する。

びーっくり。

単純に、ああ、この奥行きと複雑さが文化として根付いているから、キアロスタミやマフマルバフ(調べるの面倒なので嘘の可能性大さすがに調べた。サイクリストの親父と板を背負った娘の映画ファミリー)なんかが普通に公開される映画としてああいう優れた作品を生み出し、受け入れられてるってわけなのか、と想像してみたり。

また、後書きのこの本が開発された経緯も興味深い。

お宅のお子さんにも是非、この多様性で満ち溢れた世界への本をどうぞ。


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