著作一覧 |
2時間30分と相対的にやたらと短かったから青春第3部「帰」を観てきたが、おそろしくおもしろかった。
多分白髪三千丈的言い回しなのだろうが王兵の1500時間撮影してそれを取捨選択して編集する忍耐力が俺様の強みというのも伊達ではない。とにかくどのシーンをとっても完璧な役者による完璧な演出に見える。が、間違いなくただの縫製工場の季節(ということではなく年間っぽい)工だろう。
一番若い16歳はともかくほぼ全員20代なのだがどうにも子供っぽく見えるのは同じアジアの同胞だからかな。
冒頭、電動糸鋸のやたらでかいやつを動かしながら、目の前の分厚い机みたいなのを切っている。なんだろうと見ていると、どうやらジーンズを裁断しているらしい。分厚い机ではなく、積に積み重ねた布だったのだ。
工場のミシンの良し悪しで出来高が変わるので、少しでも良いミシンを導入している工場に雇われようとする。
熟練している女性がとんでもない速度で作っていく。
仕事は大変そうだが、ちゃんと働けばちゃんと稼げる。それなりに楽しそう。
男性は仕事が終わるとカード賭博で金をする。何やってんだ? というか、どうも他に娯楽が無さそうだ。職場というか同業者婚が多そうだ。女性のほうは堅実(な例しか出てこない)。
旧正月で里帰り。列車に乗ろうとするが車両が違う。ホームを駆ける二人。荷物。先に男が椅子に腰掛ける。お互いの肩に頭を寄せ合って眠る。手を握っている。
いつ転落するかどきどきの山奥の部落への里帰り。
駅で同方向の人たちのビークルに乗せてもらう(のだと思う)。辛うじて車1台が通れる斜面に作られた道路をビークルが進む。
向こうから引き返してくるビークル。ぎりぎりですれ違う(ちょっと張り出した交差用の足場)。
工事中のショベルカーが道を塞いでいる。
夫の実家であまり歓迎されない嫁。東アジアだなぁ。
結婚式で、新郎が新婦をおんぶして延々と歩く。のを取り囲んで囃し立てる家族、親戚、友人たち。
軽い不況で工場がいくつか倒産して職場が減る(とはいえまだパンデミック前)。
驚くほどおもしろかった。
ジェズイットを見習え |