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日々の破片

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2019-06-07

_ アラジン

アニメのときは妻と二人で観に行ったんだから、何十年も前のことが、こんだ親子そろって観に行くことになって、その間にディズニーはピクサーを取り込んで全然違う映画の世界になっているわけだが、やはり比較してしまうわけだ。

で、オーソンウェルズの市民ケーン風なカメラワークで周縁の語り部の言葉が歌にのって物語の舞台に潜り込むシーンがどえらくうまくて舌を巻きまくる。さあ映画が始まるよというわくわく感は実に見事なものだ。

語り部におちを付けるとか、全体の構造も見事なものだ。

主役は、アニメと同じで口を歪めて出てくるのでなんじゃこりゃと思っていると、周囲からの視線の変化に合わせてだんだんと顔が整っていき、最後は立派な人物になるとかおもしろい。

とにかく魔法の絨毯の映像化が抜群。アニメと同じく単なる絨毯のままでちゃんと感情表現ができていてすごかった。

ジェファーの造形がおもしろく、アニメは見るからに巨悪っぽいのが、こちらは単なるデコ助坊やで、最初の登場であれなんだこれ? と拍子抜けして観ていると、ランプの洞窟のシーンでアラジンに芸を披露して炊きつけるので、ああ、なるほどアラジンのダークサイドなのかと理解する。

この自分は本物ではないと信じるデコ助があり得ない本物の自分になろうとするという点で共通しているので、アラジンは心理的弱点を突けるし、3番目の選択をするというのはきれいな物語だった。

ただ、ジャスミンはデコ助が言うように、あまりにも現実を知らない(商品を獲得するには対価を払うことすら知らないのに、わたしは勉強をしたとか、確かに笑止千万)ので、ちょっとジャスミンに焦点を当てるにしては、元の話との整合性がうまく取れていないなぁとは思った。

逆に、解放されたジーニーが無敵の魔人のまま世界旅行に行くのではなく、人間化するというおちのつけかたもきれいだった。

まあ、こんなものだな。


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